46.仕事のプロセス改善で新しい市場を開拓 「(ニーズからイノベーションを生む第一の条件は)何がニーズであるかが明確に理解されていることである。何となくニーズがあると感 じられるだけでは不十分である」  −『イノベーションと企業家精神』P.69− ☆サービスの最大の弱点こそイノベーションのヒント   ニーズとは、ある種の欠落、欠如である。これをとらえてイノベーションにつなげるには、体系的にアプローチしていくことが必要だ  。「何となく改善が必要そう」というような漫然とした見立てで着手しても成功はおぼつかない。   特にプロセス・ニーズは、雇用の調節や設備投資が必要になる労働力ニーズや、研究・リサーチへの投資が必要な知識ニーズとは異な  り「やり方を変える」だけで成功する場合があるため、検討してみる価値は高い(もちろん実現には投資が必要な場合もある)。 ☆5つの着眼点  1.プロセス自体は完結しているか?    「会社→市場」というプロセスが一応完結していて、それでもうまくいかない場合、改善によってイノベーションが成立しうる。プ   ロセス自体が未完成では、「ベターな修正」はそもそもできない。  2.問題点や欠落部分は1箇所だけか?    プロセスに複数の問題や欠落があると、同時に改善に着手した場合、どちらの改善がどれだけ有効だったか(あるいは無効だったか    )が判断できない。イノベーション成立に向けて生産的な行動を取りにくい。  3.変革の目的は明確か?    「なぜこのプロセスを変更するのか」が明らかになっていないと、その結果に対して評価を下すことができない。「リードタイムを   半日短縮するため」「サービス利用における移動の手間を省くため」など、なるべく具体的であることが望ましい。  4.目的のために必要なことは明らかになっているか?    配達方法を変える、集荷時間を変更するなど、「どのようにプロセスを変更すべきか」が明らかになっていることが大事。さもない   と、試行錯誤とも言えない手当たり次第の修正・調整を続けなければならなくなる。  5.社会に「もっと良い方法があるはず」という意識はあるか?    社会に「もっと便利な方法があるはず」という意識が潜在的にでもなければ、新しいサービスを開始してもヒットしない。つまり社   会の受け入れ体制を確認することが、イノベーションをスタートさせるには重要な前提となる。 ☆イノベーション実現のための3条件  1.ニーズを明確に把握している    「何となく変えたほうがよさそう」「何となく求められている気がする」では、イノベーションのためのすべての活動が曖昧になっ   てしまう。  2.必要な知識が手に入る    情報が閉ざされている状態では、誤った方法に進んでしまう。なるべく正確で十分な情報が集まっていることが必要。  3.解決策が現場の価値観や仕事の手法に合っている    解決策を思いついても、現場に受け入れられなければ意味がない。突拍子もない要求や無茶を強いる変革は実現しない。 “答えはプロセスの弱点にある。サービスにおける最大の問題点を探せ。”