43.常識や思い込みは疑ってかかれ 「ギャップは通常マネジメントに提示され検討を加えられる数字や報告の形では現れない。定量的ではなく定性的である」   −『イノベーションと企業家精神』P.45− ☆会社と消費者のすれ違いを表す4つの“不調和”  業績は悪くはない、しかし今ひとつ伸び悩んでいる。しっくりこない。そんな違和感を感じる場合、そこにはドラッカーの言う「不調和 (ギャップ)」が生じている可能性がある。市場の実際と、事業のやり方や市場へのアプローチにズレが生じているのである。本来、事業 として望ましい姿と実際の事業のあり方とのズレと言い換えてもいい。会社企業と消費者(市場)がすれ違っているのである。  ドラッカーはそのズレのタイプを4つに整理している。 1.需要と業績のズレ    業界全体では需要が伸びているのに、それまで順調だった自社の業績だけが停滞している。そんなときは、何らかの解決すべき問題   がその現象を引き起こしていると見るべきだ。    売るタイミング、売る対象、売り方などが間違っていないだろうか。物事を複雑に考えて、売り方やサービスも込み入ってはいない   だろうか?より“自然な”事業のあり方はないだろうか。    イノベーションは「普通に売れる形を探す行為」となるため、新しい発明を生むような華々しいものではなく、落とし所は地味で単   純なものとなる場合が多い。 2. 現実とそれに対する認識のズレ    常識的に正しいと考えていた問題解決のやり方が、実は間違いだった場合。もっと安く・早くといったニーズがあるのは知っている   のに、「業界的にはこういうものだから」とか「技術的に不可能とされているから」といった常識が「できない」理由であるときは、   「本当にその常識は正しいのか?」問うてみよう。    たとえば昔、船による輸送の高速化には、船の巡航速度を上げることが一番の解決策と考えられていた。しかし、港での積み下ろし   を効率化させるほうが効果は劇的だったのだ。それに気づいた人が、コンテナやパレットを使うことでイノベーションを実現した。 “事業の改善では、よりシンプルで自然な姿を追求せよ。そして常識を疑え。”