42.「予期しない失敗」から市場の変化を察知する 「予期せぬ失敗が要求することは、トップマネージメント自身が外へ出て、よく見、よく聞くことである。予期せぬ失敗は、常にイノベー ションの兆候としてとらえなければならない」   −『イノベーションと企業家精神』P.36− ☆思わぬ失敗の原因の多くは社外にある  「予期しない失敗」とは、リスクをとって悪い目が出たという想定の範囲内の失敗ではなく、まったく考えていなかった業績不振、顧客 からの不評、コスト増大、設計ミスといった失敗のこと。  この手の失敗が見過ごされることはまずないが、根本的な反省がされずにいるケースは少なくない。なかには、単なるケアレスミスや誰 かの怠慢など、単純な失敗もあるだろう。  しかし、慎重に企画開発した上で販売した商品が失敗した場合は、そこに重要な市場からのメッセージが隠されている。「市場はこれを 求めているはずだ」と判断したこと自体が誤っていたのだ。  しかし、多くの場合は、綿密なマーケティングをした(つもりの)場合が多いため「やり方を変えればうまくいく」という思いに固執し がちだ。これは、泥沼にはまりかねない危険な考え方である。  むしろ「そもそもマーケティングが間違っていた」という謙虚な姿勢が大切だ。市場の価値観や認識を見誤っていたのかもしれない。市 場が思ったよりも細分化していたのかもしれない。  この状態を「分析から知覚へ」と言うが、とにかく軌道修正が必要で、新たな価値の創出(イノベーション)が求められている。 ☆まず現場に出ること、自分の目で市場をみよう  まずは現場に出よう。市場が変わり始めていてまた新たな形をとる前、新たな市場が文字通り胎動しているときは、その明確な姿が、デ ータや消費者の行動には表れないものだ。  しかし、その“空気”をキャッチできるかどうかが、失敗を成功につなげるカギとなる。「自分の目で確かめる」という姿勢は、事業に おける基本中の基本だ。 ☆予期しない失敗を活かす  【予期しない失敗】⇒[修正して対応]・単純な過失 ・ただの遅れ ・タイミングの誤り ・不足又は過多           ⇒[イノベーションのチャンス]◎前提が間違っていた(「商品・サービスはこうあるべきだ」と考えていたことや             、マーケティングによって「市場のニーズはこうだ」と思っていたものが間違っていた。外部に予期していなか             った変化が起こっていた                 ↓            [現場に出てニーズを知る]市場の変化はいつも現場で起こっている。本当の意味でのマーケティングとは、人々             の潜在的なニーズを掴むこと。現場に出ずしてその変化の兆しは掴めない                 ↓            [事業を続ける]ニーズは確かにあるのに失敗した場合。問題点を発見し、改善して市場のニーズに適応すれば、             再び浮上することが可能となる                 OR            [事業から撤退する]もはや市場にニーズはない、と見なせる場合。時代が変化し、その事業を行うこと自体が「             間違い」となってしまったときは、潔く撤退する。そうして生まれた余力を新しい行動に振り分ければ、イノベ             −ションのチャンスをつくることができる                 ↓            【イノベーション】 “「前提が間違っていた」という謙虚な姿勢で失敗を論じよう。そして市場を自分の目で見直す!”