41.「予期しない成功」を反復可能なしくみにする 「マネージメントにとって、予期せぬ成功を認めることは容易ではない。勇気が要る。同時に現実を直視する姿勢と、間違っていたと率直 に認めるだけの謙虚さがなければならない」   −『イノベーションと企業家精神』P.20− ☆予期しない成功が意味するものとは  予想外によい結果に恵まれることが、ビジネスでも時々ある。マイナーな商品が急に売れる。新しいサービスがターゲットに想定してい なかった層から支持される、開発・研究の失敗から偶然、別の発見が生まれる・・・・・・。  ただ、予期しない成功を「結果オーライ」で終らせてはいけない。そこにはイノベーションのヒントが潜んでいる。偶然の成功を利用す ることは、最もリスクが低いイノベーションの実現方法だ。  予期しない成功とは・・・・ @市場の要求を見過ごしている“兆し”  自社がもつ意外な価値を顧客に見出してもらえたことを意味する。市場と、市場に対する認識にギャップが生じていることの表れ。当然 、そこにはビジネスチャンスがある。 A「ラッキー」ではなく、実は「誤り」  期待していなかった意外なものが売れた、と言うことでもある。結果オーライだが、そこには見込み違いが隠れている。真剣な反省が必 要。 B自分たちの事業の路線変更が求められている  予期せぬ成功は、社会にくすぶる不満・不足・不便の表れ。上手にキャッチしてそれを満たす商品を提供できれば、新しい市場を開拓で きる。体系的に分析して反復可能なしくみを作り上げよう。           ↓  真剣に受け止めなければ、変化に乗り遅れ、やがて淘汰される恐れも・・・・・・ ☆冷静に分析して反復可能なしくみをつくる  だからこそ、予期しない成功をものにするには、現実を冷静に直視し、分析し、それを謙虚に受け止める必要がある。その上で、自分た ちの事業や技術が市場に対してどんな意味を持っているのかを改めて定義しなければならない。予期しない成功は、その根本が新たに問わ れたときでもあるのだ。  予期しない成功は、反復できるように仕組み化する必要がある。ドラッカーはそのための着眼点を4つ挙げている。 1.取り組むことに意味はあるのか?   ビジネスチャンスと捕らえて利用することにどんな意味があるのかを考える。改めて「わが社の事業とは何か?」を問い直すときだ。  その価値観に合致していて、社会が求めている価値を提供できると思えるなら、その成功は、仕組みに変えるべく、取り込む意味がある 2.成功を仕組み化するとどこに行き着くのか?   その成功を反復可能にすることで、事業はどう変化していくのか?商品のラインナップはどうか。新しい顧客を得る代わりに従来の顧  客を失うことはありえるか。また、そこまでする価値はあるか。様々な角度から検討しよう。 3.何をする必要があるのか?   企業の姿がどう変わりそうかが見えてきたとき、それは妥協だと考えられるなら、次はそのために何をするべきかを考えよう。組織の  体制を変える必要があるのか、新しい設備や人材は必要か、教育体制は必要か・・・・。すべきことを整理しよう。 4.仕事の仕方はどのように変わるか?   予期せぬ成功に対応した結果、自分の、そして周囲の働き方はどのように変わっていくだろうか。変化に対してどのように適応してい  く必要があるだろう?何らかの問題が生じそうならば、1つずつ解決していく方法論を探っていこう。 “予期しない成功は、新しいニーズが芽生えてきたことを意味する。事業の再定義が問われている”