38.満場一致の決定には必ず落とし穴がある 「決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということである」 ☆選択には必ず意見が含まれている  意思決定は、いくつかの選択肢から何かを選択する判断のこと。しかし、たいていの人はまず自分の意見があり、それに都合のよい事実 にしか目を向けない。  けれども最初から「これは私の意見をもとに選んだ仮説だ。だからこそ、徹底的に検証して、この選択が有効であることを証明しなくて は」という発想に切り替えると、意思決定は変わってくる。  そこで大切になるのが選択肢の有効性や有意性を考える基準だ。自ら問題の現場に出向き、そこで得たフィードバックをもとに評価基準 を設けることが求められる。 ☆比較することで見えてくるものがある  「Aというケーキ店はいいよね」と抽象的に言っても、相手には何も伝わらない。「Bよりおいしい」「Cより大きい」「Dよりサービ スがよい」など、他の店舗と比較することで、多くのことが見えてくる。つまり、選択肢があって初めて、正しい検証と判断が行えるわけ だ。  さらに決定に至るまでには、複数の人間と十分に意見を戦わせる必要がある。そこで重要なのは、人々を満場一致の方向に持っていこう とせず、意見の衝突、異なる視点からの発見を大切にすること。むしろ、意見が対立しないような案件は決定すべきではない。  深く勉強し、自分の問題として考えれば、意見が対立するのが当たり前で、対立の裏にこそ、よりよい決定のためのヒントがある。意見 の不一致は「もっともらしい決定」を「正しい決定」に変え、「正しい決定」を「優れた決定」にする。 ☆意思決定とは  経験と勘に頼らず、ルールに沿って行われるべきもの。その手順は、@問題を定義し、A意思決定の目的を確認し、B複数の解決策を出 し、C実行手段に落とし込み、D結果を評価する、である。決定しないことも1つの選択肢としてあり得る。また、意思決定は問題解決と 言い換えることもできる。この場合の問題には、@発生型:起こってしまった問題(事故やクレーム)、A探索型:探す問題(改良・改善) 、B設定型:作り出す問題(革新)、である。 “経営を左右する重大な問題は、満場一致で決められるものではない”