37.意思決定のあるべき姿とは・・・「決める」ことを急がず、あらゆる角度から検討する 「地位のゆえか知識のゆえかは別として、組織や組織の業績に対して重大な影響を及ぼすような意思決定を行うことを期待されている者こ そエグゼクティブである」   −『経営者の条件』P.154− ☆プロセスを踏むこと、基本を知ることの重要性  意思決定は下記のようなプロセスを踏んで行うのが理想的だ。ルールをつくることで、経験や勘に頼った抽象的な決定を避けることがで きる。さらには、「会議に通りやすい」「上司に評価されそう」など相手の顔色に惑わされることもなくなる。  さらに、意思決定においては、基本や原則を知ることが重要だ。たとえば、「問題の正体を明らかにする」では、直面しているのは一般 的な問題か例外的な問題かを考える。このとき、基本や原則を知らないと、例外的な事例だと騒ぎ立てることになるだろう。  「法律の多い国は、無能な法律家の国である」という諺があるが、全てを特殊な問題として対応策に追われるのは馬鹿げている。本当に 例外的な問題はごくわずかだ。そして真に例外的な問題を除き、あらゆるケースは基本の原理に基づいて解決できる。 ☆絵に描いた餅ではなく、実務レベルに落とし込む  このように決定そのものは基本の理解に深くかかわっている。一方、決定は実務レベルに即したものでなければならない。ただの理想や 決意表明で終ってはいけない。また、あなたの決定は、必ず誰かに影響を及ぼす。そのため、「誰がこの意思決定を知る必要があるか」「 彼らにどのように行動してほしいか」考えてみよう。  最後に大切なのは検証すること。あなたの決定によってなされていることを、自分の目で確かめることだ。自分の目で観察しなければ、 適切でも合理的でもない決定に固執してしまいかねない。 ☆意思決定のための5ステップ  Start 問題に直面!    ↓  Step1 問題の正体を明らかにする         直面している問題の種類を正しく把握し、原則論で解決できるのか、個別に対処すべきかを明らかにする        【問うべきこと】・それは基本的で、何度も誰にでも起こりうる一般的な問題か?                ・当事者には例外的だが、世間的にはよくある一般的な問題か?                ・「本当に例外的」と見えているだけで、実は新しい(将来一般的になりうる)問題の芽生えでは?    ↓  Step2 決定の前に果たすべきことを明らかにする         直面している問題を解決するために最低限必要とされることはなにか?を問い、意思決定のための必要条件を明らかにす         る        【問うべきこと】・問題解決の結果、最低限求められている状況とは何か?                ・「○○を実行すれば、問題は解決する」と断言できるか?    ↓  Step3 「何が妥協か」より「何が正しいか」を考える         意思決定を行動に移すとき、妥協はいずれ必要になる。しかし、始めから正しさを曲げて、受け入れやすさを選ぶと、妥        協すら誤ったものになってしまう        【問うべきこと】・何が正しいのか? どうすることが正しいのか?                ・周囲の受け入れやすさを意識して、落とし所を決めていないか?                ・許容できる妥協とはどんなものか? できない妥協とは?    ↓  Step4 決定を行動に移す         下した決定を実現し、成果をあげるには、周囲(組織)への働きかけが必要。具体的な手順に落とし込み、適切に割り振        らなければならない        【問うべきこと】・この決定を誰が知るべきか?                ・どんな行動が必要か? 誰の行動が必要か?                ・相手にどんな成果を期待し、責任を負わせるか?                   ・任された人の能力に合った仕事として与えられているか?    ↓  Step5 フィードバック(検証)する         意思決定には仮定が、そして行動する人には間違いがつきもの。それらを検証しながら、決定・行動の修正に役立てる        【問うべきこと】・ここまでに立てた仮定は現実に即していたか?                ・現場では自身の決定は正しく機能しているか?                ・下した決定が陳腐化していないか?                ・現実を受け入れず、固執している部分はないか?                ・それは顧客にとって本当によいことか?    ↓    ⇒必要ならStep1へ    ↓  Goal  問題解決=成果 “決定は実務レベル下ろさない限り、決定とは言えずただの意図にすぎない”