36.1つの仕事に集中することが成果につながる 「集中とは、『真に意味あることは何か』『最も重要なことは何か』という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことで ある」  −『経営者の条件』P.152− ☆仕事ができる優秀な人は一度に1つのことしかしない   成果をあげるための最大の秘訣は、集中することだ。それは、立派な功績からごく小さい事柄まで、どんなものにもあてはまる。やる  べきことに対して、与えられた時間はあまりにも少ない。たくさんのことを成し遂げた人ほど、一度に1つのことしかやろうとしないも  のだ。同時に複数のことを並行して進めようとすると、どの仕事にも十分に時間をかけることができない。すべてが宙ぶらりんのまま、  問題にぶつかるとすべてが止まってしまう。   成果をあげる者は、ゆったりと時間の波に身を任せる快適さを知っている。そのほうがはるかに効率的だと知っているのだ。 ☆優先順位を考える前に捨てるべきものを決める   集中する環境をつくるためには、生産的でなくなった仕事を捨てることだ。これが案外難しい。完全に失敗したものなら、潔く捨てる  ことができるが、判断に迷うものが必ず出てくる。そのうえ手放すとなると急に惜しくなるものだ。   こんなとき、人はよく「優先順位を決めろ」と言うが、優先順位を決めることはさほど難しくない。むしろ、取り組むべきでない仕事  を決め、それを捨てることこそ難しいのだ。しかし、残しておいたとしても、その計画の旬は失われる。潔く手放し、目の前のことに集  中するのが賢明だろう。   さらに今後は、いま集中している以外の仕事にタッチしてはいけない。1つの仕事が終わった後、あらためて状況を検討し、優先すべ  き次の仕事を選ぼう。 ☆成果をあげるための2大要素(まとめ)  【前提】成果を出すには「集中」が必要  【仕事を捨てる】過去には生産的だったが、現在はもはやそうではなくなった仕事がある。慣習として残っているだけなら、それは捨て   去る必要がある。「今からそれを始めるとしたら、その仕事をするか?」と問うと、不要な仕事が浮かび上がる   ・新しいことを始めるときは、必ず何かを捨てること   ・新しいことは難しい。仕事ができる人を確保しておくこと(そのために負担を軽減してやること)   ・経験のある人を信頼して使う(新しい人を使うことは仕事を増やし、失敗のリスクを高める)  【「重要でない順」を決める】するべき仕事、生産性のある仕事だけに絞っても、使える時間や人材には限りがある。今取り組むべき仕   事は何か、いま部下や後輩に経験させておくべき仕事は何か。これは逆に、「重要でない順」を考えると見えやすい   ・状況に流された意思決定を避けること   ・過去にとらわれて「いますべきこと」を考えると未来を見失う   ・内部事情にとらわれて仕事を決めると、外部の変化を見逃す   ・切迫した仕事に優先順位を与えると重要な仕事が後回しになる         ↓   不必要な仕事は断念する勇気をもつ⇒本当の優先順位が見えてくる ☆優先順位   優先順位を決めるときに必要なことは、分析ではなく「勇気」である。そのポイントは、@過去ではなく未来を選ぶ、A問題ではなく  チャンスに注目する、B横並びになることを選ぶのではなく独自の方向を定める、C無難で簡単にできることではなく変革をもたらすも  のに焦点を高く合わせること、である。状況に流されて優先順位を決めると、周囲からの反対は少ないが、真の成果からは遠ざかってし  まう。