35.他人の強みを発見せよ・・・上司の強みと習慣を見つける部下になれ 「組織と言えども人それぞれが持つ弱みを克服することはできない。しかし組織は、人の弱みを意味のない者にすることができる」   −『経営者の条件』P.102− ☆ムッときたら唱える言葉「上司の出世は部下の幸運」  どんな上司との間にも、少々の衝突や相性の良し悪しはあるだろう。しかし、ドラマのように部下が下克上をするというような機会は滅 多に起こらない。むしろ、上司に認められ、重用されることによって、自分のやりたい仕事をやろうと考えるほうが賢明だ。  部下としてなすべきことは、「上司のマネジメント」。つまり上司の強みを活かすこと。上司にも強みもあれば弱みもある。しかし、強 みを活かしてこそ、成果は現れる。弱みの改善のみに気をとられても成果は出ない。  そこで、自分の強みを探るように、今度は上司の強みや習慣を見つけ出そう。これらのデータは、上司に問題を提示するとき、どのよう な方法論を採用すべきかを教えてくれる。ひいては、上司の強みを引き出していくのだ。  あなたが上司の強みを伸ばし、弱みをカバーする・・・成果をあげるには、上司を上手に“使いこなす”ことが重要である。 ☆弱みに執着した人事は失敗に終わることが多い  あなたが新事業のチームの人選を任されたら、どうするだろう。「この人はこれが苦手だから」「あの人はこの分野に弱いから」と弱点 をあげつらい、無難にまとめようとすれば、チームの成果は、よくても平凡に、大抵は悪い結果しか残せないだろう。  大きな強みを持つ人間は、同様に大きな弱みをもつと知っておこう。会社は一人ひとりの強みを持ち寄って、大きな貢献を成し遂げる場 であり、弱みを中和し無害化する浄化装置みたいなもの。結局、あなたに求められるのは、上司やメンバーが、その強みを発揮できる土壌 を整えてやることなのだ。  「己よりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」鉄鋼王カーネギー ☆強みによる人の“使いこなし”  【前提】・弱みからは価値ある成果は生まれない      ・弱みの克服には時間も労力もかかる      ・強み=チャンスである          ⇒異なる強みをくみあわせられることは組織のメリットである      ・あらゆる分野で強みのある人はいない      ・天才も、弱みで見れば凡人以下である  【人事のポイント】   1.人の「できること」に注目する      弱みに注目して人を配しても、その組織は平凡なだけに終わる。部下が強みによって成果をあげることを、脅威に感じてはなら     ない。「自分より優秀な人間に働いてもらう方法を知っている」。これを誇れる上司こそ人の上に立つ者であり、そうして会社や     部門があげた成果は上司の成果でもある。   2.人間関係にとらわれすぎない      仲良くするため、自分を気持ちよくさせるために部下が存在するのではない。「自分とうまくいっているかどうか」にとらわれ     るのではなく、「組織に貢献できるかどうか」で部下を評価し、配すること。得意な分野を見つけてあげて、その仕事に部下をあ     てることが大切。   3.成果を要求する      強みを活かした配置を行うからこそ、成果を要求できる。できないこと、苦手なことを割り当てておいて「成果が出ない」と責     め、自己開発を求めることには生産性がない。それは労力、時間、資金の浪費に過ぎない。 “できないことに気をとられ弱みを避けようとする人間は、弱い人である”