32.「社会への貢献」の意識が仕事の質を上げる    社会への貢献をめざして働くという意味では、部署も年齢もキャリアも関係ない。会社で働く誰もがプロ意識をもって働くことが求   められる。 「貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである」  −『経営者の条件』P.84− ☆共通の判断基準を要にチームはまとまっていく   会社全体が団結して成果をあげるには、共通の判断基準が必要だ。ドラッカーの物差しは、「社会への貢献」。つまり、価値観も年齢  もバックグラウンドも違う者たちのコミュニケーションは別々の言語で議論しているようなもの。そこで「社会への貢献」が共通言語と  なる。このフィルターを通すことで、自分の主張が相手に伝わっているという安心感を得て、相手の主張も鮮明になるのだ。   また、会社内で自分の出した成果は、他者との連携によって初めてかたちになる。コミュニケーションがスムーズになることで、強い  チームが育っていく。   チームの中では、誰もがチームのメンバーとして力を合わせる。立場に関係なく、一人ひとりがプロフェッショナルにならなくてはな  らない。自分の名という“看板”を背負って参加するのだ。自分の能力や仕事に対して、責任をとる覚悟が大切だ。 ☆“看板”を磨く努力が他者へと波及する   成果をあげるには、各々が“看板”を磨く、つまり自己開発によって自分を高めることが必要だ。「社会貢献のために自分は何ができ  るか」を問うことで、すべきことが見えてくる。どのような知識や技能を身につけたらよいか、自分の強みをどう生かしていくか、を具  体的に把握しよう。   その効果は周囲に波及し、チームに対し、間接的に刺激を与えることもあれば、習得した技能や知識を周囲に教育することで、直接的  に貢献することもできる。仕事の喜びはそこから生まれてくるのだ。   全体の目標達成のために、個々が役割を自覚し、連携できる関係こそ健全なチームなのだ。 ☆仕事を「貢献」と考える  【前提】⇒「仕事の成果」とは「どれほど貢献したか」である     ・何を持ってその人を「優秀」と評価するのか?     ・上司、部下に「してもらうこと」を求めていないか?     ・肩書きや権限にとらわれて仕事の仕方を考えていないか?     ・「がんばった」という事実に満足していないか?     ◎「自分にはどんな貢献ができるのか」を問うてみる⇒[自らの貢献を問うことは、自分の可能性を問うこと]  【組織に対する3つの貢献】   1.業績を伸ばすことによる貢献      売上や利益を伸ばすことによる直接的な貢献。病院なら患者の治癒率、資格学校なら生徒の合格率など。ただし、こうした貢献     が見えにくい仕事、部署もある。「直接的な貢献とは何か?」について定義の共有が必要である。   2.価値を高めることによる貢献      @品質をアップする、A技術面で業界的な地位を高める、Bより安い供給を可能にするなど。これも明白なものと見えにくいも     のがある。見えづらい貢献に対して気づくこと、おろそかにしないことが重要である。   3.人を育てることによる貢献      明日の幹部となる人材を育てることは、会社に対する大きな貢献となる。「人を育てる」とは、会社がより高度に成長し、変化     に対応できるようにするため、後に続く者に適切な課題を課し、適応させていくことである。 “自らに少ししか求めなければ少ししか成長しない。自分の成長に貪欲であれ!”