29.目の前の業務で自分を見失ったときは  次々に舞い込む業務に忙殺されて、仕事の意味を見失うことは誰にでもある。そんなときは社外に目を向けよう。仕事の価値は、常に会 社の外にあるのだ。 「組織が成長するほど、特に成功するほど、組織に働く者の関心、努力、能力は組織の中のことで占領され、外の世界における本来の任務 と成果を忘れていく」  −『経営者の条件』P.34− ☆会社の中では仕事の価値や成果の意味が見えにくい  会社は、成果を期待する半面、成果をあげにくい。それは、それぞれの知識や能力を他の人のための資源や動機づけに利用するからだ。 特に、優秀な知識労働者ほど、他の人たちと足並みをそろえて働かなければならず、もどかしさを感じやすい。成果をあげるべき場であり ながら、成果をあげることが極めてむずかしい。そんな矛盾を抱えた場が会社なのだ。 ☆あなたの仕事の成果は会社の外にある  人は働いているうちに、会社の内部にばかり目を向けて、「何が問題か」「何をするべきか」を考えるようになりがちだ。部下や後輩を もつ身になると、彼らをどう導くかに意識が集中するため、関心はますます内向きになる。視野がどんどん狭くなり、「何も生産的なこと をしていない」「組織の歯車にすぎない」などと感じるようになってくる。  だが、そんなときは思い出そう。会社とは社会の一員であり、社会に貢献することこそが、最も重要な存在意義である、と。  日常業務はささいなことの連続かもしれない。だが、その積み重ねであなたの会社はどんな価値を社会に提供しているだろうか。決して 小さくはないはずだ。それは紛れもなくあなたの成果でもある。あなたの仕事の意味は、自身で見つけるしかない。それは広い視野で、会 社の外の世界に目を向けると初めて見えてくる。それがやる気と誇りを生むのだ。  できる人(エグゼクティブ)とは、そんな風に社会全体という舞台で、自分の仕事の価値を定義できる人なのである。 “会社の成果はあなたの成果でもある。社会に対する貢献という高い視点から仕事の意味を考える。”