27.リスクとの上手なつきあい方   「事業においては、リスクを最小にすべく努めなければならない。だがリスクを避けることにとらわれるならば、結果は最大にしてかつ最 も不合理なリスク、すなわち無為のリスクを負う」   −『創造する経営者』P.269− チャレンジなくして成功はない。事業にリスクはつきものだ。問題はリスクからどうやって逃げるかではない。リスクとどう向き合うかで ある。 ☆事業の姿を再び問い直しリスクへの対応に備える  どんなリスクがあるのか。リスクに対してどのような意思決定を下すのがよいか。それについて考えるには、まず、自社の事業を正確に 見直す必要がある。  @自分たちの事業とは何か?A自分たちは何に優れているのか?B自分たちにとって何が重要で、何が重要でないか?という問いだ。 @は、事業の定義について考えること Aは、何をもって業界をリードするのか。専門的な知識、スキル、能力など、会社の強みとなる部分の問い直しだ。 Bは、事業の強みと弱みなどを理解したうえで、一番にやるべきこと、やるべきでないことを決めることだ。 ☆4種類のリスクにどのような答えを出すか  【とるべきリスク】事業に先天的に存在するリスクで、病院の医療事故リスクが好例。「とらざるをえないリスク」でもある。  【とれるリスク】失敗して最悪の事態に陥ったとしても、多少の資金と労力を失うだけで済むリスクだ。  【とれないリスク】カバーできない痛手を受けるリスクという意味のほかに、リスクをとって成功してもあまり事業の成長に役立たない    リスクも含む。  【とらないことで生じるリスク】まだ誰もチャレンジしていない革新的な事業領域に足を踏み入れるか悩み、やめたときに生まれるリス    クだ。リスクを負わない、つまり無難な方法を選ぶことで、得られたはずの利益を取り逃がし、他社の後塵を拝することにもなって    しまうリスクである。  いずれのリスクも、自社の事業の姿と正しく照らし合わせることで、自信をもった意思決定を下すことができるようになる。 “事業とはそもそも、未来の成功のために現在、資源を投入する活動。リスクがゼロの事業などありえない。リスクを分析する場合は、そ の予防策、発生したときの対処法、リスクがもたらしうる損害などについて、数値化して把握しておくことが重要だ。”