23.専門職の強みを引き出すには   「彼ら(専門職)に対しては常に多くを要求すべきである。...しかし彼らがいかに自らの仕事を行うかは、彼ら自身の責任として彼ら自 身に決定させる必要がある」    −『現代の経営(下)』P.206− ☆専門職は経営管理者でも一般従業員でもない   専門職とは、文字通り専門的な知識とスキルを活かして働く人のこと。工学系の技術者や科学者、生物学者など自然科学の専門家に限  らず、弁護士や経済学者、公認会計士なども指す。   専門家に対しては、経営者によくある「仕事の中身はこちらが決める。社員はそれに従って動けばいい」という発想は通用しない。専  門家はこうした扱いを受けると、とたんに白けてやる気を失ってしまう。専門職の人たちの特徴は、文字通り仕事が専門的であることに  尽きる。何が正しくて、どんな仕事が“いい仕事”なのかは、彼らが一番よく知っている。彼らに仕事を求める場合は、結果を要求する  だけでいい。 ☆専門職が成果をあげるためにリーダーがすべきこと   このときドラッカーは、彼らには特に高い成果を要求すべきであると言う。及第点の仕事を受け入れるのは、会社のためにも彼らのた  めにもならない。多くを要求する代わり、仕事のしかたはお好きなようにというのが理想なのだ。   事務職や肉体労働者を使って成果が出ないのは、管理者が悪い。しかし、専門職が会社に貢献できない場合、それは彼ら自身の責任。  そういう評価のしかたのほうが、逆に彼らのやる気を引き出し、よい仕事につながっていく。 【専門職に成果をあげだせるためのポイント】 @あくまで専門家に徹しながら事業に貢献してもらう⇒事業目標を共有し、専門スキルをどのように事業に活かすかを考えさせる A専門職として昇進できるようにする⇒専門職を「管理職」のポストに昇進させるとモチベーションが下がり、事業全体の損失にもなる。  上級技師、主任研究員などのポストを用意する B専門職ならではの貢献を評価して報酬を与える⇒貢献の度合いに対して高い報酬(インセンティブ)で報いる。経営管理者と同等レベル  が望ましい C専門家として敬意を払う⇒管理しようとするとやる気が落ちる。むしろ専門家として多くを求めるほうがよい。専門分野に対する思いに  配慮して配置する D専門家の世界で一流をめざせるようにする⇒継続的な学習、自己研鑽の機会を大いに与える(学会や大学院ゼミ参加など) “「専門職」は独特な存在。自分で自分の仕事の内容と基準を決め、自ら働くことができる。”