20.会社のサイズに合った経営スタイルを知る   「規模の大小は、マネジメントの組織構造に対しては大きな影響を与える。規模の違いが、マネジメントの組織構造に対して、異なる行動 と異なる姿勢を要求する」   −『現代の経営(下)』P.55− ☆会社のサイズによって経営のスタイルもかわる  会社のサイズは、大きく分けると小企業、中企業、大企業に分類できる。この場合、全体の社員数を考えてしまいがちだが、そうではな い。たとえば、コンサルティング会社のように、人数は200人程度と少なくても、社員それぞれが上級の経営管理者という会社がある。 つまり、経営幹部の集団だ。当然、扱うビジネスの範囲も規模も大きい。こんな会社は、ドラッカーに言わせれば大企業になる。  つまり、サイズの大小を決める基準は、経営陣の構造にある。会社のサイズは、会社が必要とする経営体制の大小で決まるのだ。そして 、経営陣のサイズによって、特有の問題が生まれやすい。 ☆それぞれの規模にある特有の“問題点”  @小企業・・・トップの人間は、販売、生産など複数の機能にまたがり、事業全体を率いることができる    《問題点》・規模が小さすぎて必要な専門の管理職をもてない         ・トップは多能であり、かつ大企業の管理職と同程度に有能でなければならない         ・部門ごとの専門職からの支援を得にくい  A中企業・・・目標の設定と業務の遂行のリーダーシップを別の者が担当する(意思決定を行う経営幹部のチームが存在する)         専門職の組織とトップとの間に常に調整が必要となる    《問題点》・一流の経営管理者が腕を振るうには魅力が小さい         ・有能な管理職に十分な挑戦のチャンスと報酬を用意できない         ・自社で優秀な管理職を育成する土壌に乏しい  B大企業・・・目標設定、業務の遂行ともに経営トップがチームをつくる必要がある         事業部制でなければ運営はほぼ不可能         経営トップと業務遂行の部門は、体系的に組織化されていなければ機能しない    《問題点》・経営幹部の仕事を定義、組織化しづらい         ・経営幹部が内輪同士のつながりで馴れ合いができやすい         ・結果、外の世界を見下したり、成果が出ない事実を見逃しやすい         ・企業の成長と共に本部機能も肥大化する(結果、現場のスムーズな働きを阻害する) “中小企業だから経営が心配、大企業だから安定していて安心ということはない。会社はサイズに応じて問題点を抱えている”