9.人を導き、成果をあげる 「人を管理する能力・・・を学ぶことはできる。・・・だが(マネジャーが人材を開発するには)それだけでは十分ではない。根本的な 資質が必要である。真摯さである」    −『マネジメント エッセンシャル版』P.130− ☆マネジャーとは組織を組織として機能させる人   マネジャーとは、一言で言えば、自分の部署の成果に対して責任を持つ人のこと。人に命令する組織の「ボス」の側面よりも、会社に  対して貢献する責任をより大きくもつという側面のほうが重要である。  マネジャーに求められる任務は主に2つ。   第一に、生産性が高まるように自部署を導くこと。オーケストラの指揮者のような役割だ。指揮者は各パートの演奏家(専門家)に働  きかけ、仕事(演奏)を統合し、作品を創造する。重要なのは強みを活かし、弱みをなくすことだ。   第二に、現在と未来、短期と長期の両面からリスクの種類と大きさを判断し、リスクを最小限にとどめること。たとえば、現在の顧客  や成果を重視するあまり、将来の変化を見逃して波に乗り遅れてしまう、といったことにならないようにする。 ☆マネジャーに必要な資質は「真摯さ」だけ   どんな人がマネジャーに向いているのか?・・・マネジャーに特別の資質はただ1つ、「真摯さ」だけである。  「真摯さ(integrity)」とは《正しいと信じることに対して、正直であり、誠実である》こと。   英英辞典などで意味を引くと、「正直であること。高いモラルを行動原理にもっていること」といった意味で説明されている。   たとえいつも仏頂面で気難しい人物でも、信念があって志が高く公正な判断ができるなら、その人物はマネジャーの資質を持っている。  いかに愛想がよく、有能で聡明であろうと、真摯さに欠く人はマネジャーとしては失格だ。   ”マネジャーとは個人の強みを引き出して、組織の成果に責任をもつ人。大前提として、真摯であること。”