須賀敦子

翻訳者として名前を知っている程度だった須賀敦子を初めて手にしたのは未定稿「アルザスの曲がりくねった道」だった。自分がアルザス地方に行った翌年だったからか、とにかく書店で立ち読みのまま読み通した。瑞々しく整った文体、真摯でこちらに届く言葉…すっかり魅了されたのは2008年のこと。その10年前すでに須賀敦子は亡くなっておりそれ故全集もあったので何度も読んだものです。


ある日、友人Nが朝日カルチャーセンターで詩人の北原千代講師による「須賀敦子の声」という講座があるからと誘ってくれられました。本当に持つべきは畏友です!しかもそれは須賀敦子の地元芦屋で、です。実際、聴講者のなかに須賀敦子と同級生だったという方がいらっしゃいました。お話しされたちょっとした思い出話が生き生きとリアルでした。須賀敦子は1秒後言葉は物語になると言ったそうですがそれを実感しました。


この講座のおかげで私のなかで須賀敦子は少し整理されました。そしてますます深まっていくことと思いました。醍醐味。文学と自分との関係の醍醐味を覚えた秋の1日でした。cto

 

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コメント: 2
  • #1

    keiko (木曜日, 29 10月 2015 20:54)

    CTO様は、前向きで畏友が多くて良いチャンスに遭遇され、それを実現され益々豊富な知識を詰まれて、「文学婦人」見事ですね~。お陰で私も「ミラノ霧の風景」で須賀敦子を知ることが出来ました。

  • #2

    cto (金曜日, 30 10月 2015 20:59)

    keikoさまありがとうございます!
    ミラノ霧の風景、をお読みになったのですね?またお話しできることを楽しみにしています。また芦屋は谷崎潤一郎のホームですね。須賀敦子は谷崎潤一郎をイタリア語に翻訳しています。「本に読まれて」では「細雪」を分解解説していて私は圧倒されて本当に凄いと思いました。